銀行の収益力、特に地銀の場合

銀行の稼ぐ力が危機に直面している。日銀の異次元緩和で「逆ザヤ」の銀行が出てきている。2014年9月中間期で全国112銀行のうち11行が「逆ザヤ」となった。大手ではみずほ銀行、三菱UFJ銀行、一番「逆ザヤ」となっているにはあおぞら銀行で総資金の利ザヤはマイナス0.27%となっている。地銀の中でも「逆ザヤ」が7行ある。一方利ザヤが最も高いのはスルガ銀行で1.30%。外国人や独身女性など、他行では借りにくい個人にも比較的高い金利で住宅ローンを提供し、厚い利ザヤを確保している。参考になるのでスルガ銀行のビジネスモデルをご紹介したい。

まずスルガ銀行がビジネスモデルのお手本にしたのはホテルのコンシェルジェだった。狙いは大手銀行や大手地銀が敬遠していた個人金融(リテール)に特化し、法人を捨てたことだった。まず外部環境、立ち位置を見極めた上での決断だった。つまり貸したい客から借りたい客へ、の戦略転換だった。「個人金融サービスカンパニー」への脱皮を図ることだった。次の個人リテールを拡大するために他業界とのアライアンス戦略を取った。パートナーのオープンネットワークと言える。スルガ銀行は2つの方針を打ち出している。①他行が貸したくない人にも貸す②他行にはない基準で商品を開発して貸す。特に②は差別化された価値提案だ。またリソースとしては徹底したデータ管理とその活用だ。スルガ銀行は優れたビジネスモデルを実装した成果と言うことができるだろう。

最近NHKの朝の番組で今迄しのぎを削ってきた地銀を提携してす顧客を掘り出し、顧客の商品の販路開拓、それに伴う金融サービスを新たに開発する様子が紹介されていた。これはいわば地銀のハブ機能かもしれないが、スルガ銀行の優れた、進化し続けるビジネスモデルと比較すると、やや遅きの失した感がある。

ビジネスモデルは生き残ルための主体的戦略と行動である。そのことをスルガ銀行は教えてくれる。