顧客と共にイノベーションを産みだす 

 

「持続可能なビジネスモデルを生み、成長と競争力のあるビジネスを創造するには、顧客と共にイノベーションを創出することだ」とは最近出版された「オープン・サービス・イノベーション」(ヘンリー・チェスブロウ著)の広告文だ。私が注目したポイントは「顧客と共に」。この本はまだ入手して、読んでいないので、詳しい感想は読んでから、ということになるが、私は以前から自分なりに「顧客と共に」ということに問題意識を持っていた。なぜ「顧客と共に」か、そしてそれをどのように実現するか。「非対称性」という言葉がある。情報の非対称性とはよく言われることだ。であれば知識の非対称性、創造性の非対称性もある、と考えられないか。現在の高度情報化社会では情報の非対称性は破れつつある。情報が一般大衆に急速に、大量に行き渡り、情報の共有化が進み、集合知の利用も進んでいるのが現状だ。典型的な例が中国だ。かつては中国共産党の情報支配がそれなりの効果を上げていたが、現在では情報統制は破綻しつつある。中国共産党の中央宣伝部門は今大きなジレンマに襲われているのではないか。つまり統制すればするほど尾びれ、背びれもついて情報が一般大衆に広がっていく。知識の非対称性について言えば、かつてはコンサルタントがそれなりに専門知識を武器に仕事の機会を得ていたが、中途半端な専門性では通用しなくなってきている。最後に創造性の非対称性はどうか。私はこの創造性の非対称性が、顧客と共にイノベーションを創出する領域と最近考え始めている。なぜ「共に」が必要なのだろうか。「オープン・サービス・イノベーション」を読んだ後で、私なりに理解できたことを書くことにしたい。