顧客の再定義の大切さ

 

顧客を再定義する場合、注意しなければならないことがある。再定義は自社が最も大切にしなければならない顧客の再確認と周辺の潜在的顧客の顕在化が目的になる。顧客のレイヤーを増やすことである。私が知っているある企業は、顧客の再定義作業を割愛して、以下のように考えた。自社の商品のブランドアップを計りたい。そのため現在はスーパー中心で販売しているが、今後スーパーでの販売は減らし、デパートでの販売を増やしていきたい。ということで昨年夏頃から転換を始めた。私が懸念した問題は2つある。

1.現在その会社はスーパーの顧客で事業が成り立っている。スーパーの顧客は価格感応性が高い。その中で商品に特徴があるので良く売れていた。スーパーの顧客を減らすようなことになったら事業の収益基盤が揺らぐのではないか。

2.デパートの場合、各種有名ブランドがひしめきあっているので、新参者のその会社のブランドが顧客を獲得する迄、時間がかかるのではないか。テレビ広告を打てるほどの資力はない。早くても1年、長ければ2年ぐらいはお店の赤字は続くのではないか。持ち堪えられるだろうか。

最近、関係者から聞いた話では「経営が大変」とのことだ。従来からの顧客を減らし、獲得しようとしている新しい顧客がつかみきれない、というようなことらしい。企業の成長とは顧客の増加、多レイヤー化でもある。顧客の変更は時間をかけて、再定義を繰り返しながら行なっていくべきもの、あらためてそう思わされたことだ。