風いろいろ

都会に住んでいると気持の良い風に吹かれる機会が少ない。過日仕事の帰りに原宿から代々木迄明治神宮の中を歩いた。木々の少し湿った匂いにホッとした。ただ大きな木が多いせいか、木の間から吹いてくる風はあまり感じられなかった。南部町で芝生の切り分け作業をしながら、休息を取る。頭上には栴檀の大木が枝を拡げている。近くを戸栗川が流れている。富士川に合流する大きな川だ。休息の時、芝生の上に身体を横たえて、木々の葉の向うの青空を見上げる。微風が吹いてくる。言葉で表しようが無い程の、気持の良い風だ。このままずっと風に吹かれていたい。身体の疲れが癒される。いや身体だけでなくも心からも疲れと濁りが洗い流され、空の青さと木々の緑にやさしく染められて、限りなく透明になっていくような感じさえする。至福の時とはこのような状態かもしれない。

風を楽しむ、それが地方に出張した時の私のささやかな喜びの一つになっている。