360度の人生

今朝池袋の向う電車の中でフッと「360度の人生」という言葉が頭に浮かんだ。最初に思ったのは定年退職後のシニアの生活は360度の人生になるのではないかということだった。定年前迄は、やはり仕事中心で特に責任が重くなる中年期は3/4の270度迄仕事が占めることになるのではないか。そして定年前は人によって勿論異なるだろうが180度ぐらいまで仕事の比率が下がるかもしれない。残りの仕事以外の180度はこれも人によってさまざまだろうが、趣味とかライフワークが占めることになるのではないか。さて定年退職後、会社を辞め、仕事がなくなると年金で暮らすことになるが、今迄180度を占めていた仕事の部分が空白になる。ある意味、仕事があっての趣味、ライフワークだったのかもしれない。自由にゴルフができると最初は楽しかったがその内飽きてしまったという話も聞く。忙しい仕事の合間の気分転換だったのだ。だから楽しかった。

年金生活者のライフスタイルについて研究する時代になっていると私はつねづね感じている。現在は医療の進歩によって人生90年、さらには100年も夢ではなくなっている。

定年を65歳とした場合、90歳迄25年ある。この25年間を、生き甲斐を持って生きるためには、360度の人生を見直す必要がある。

私が考えているのは4分割で、仕事90度、ライフワーク・趣味90度、家族・友人との交流90度、そして自然の中で過ごすが90度。こんな構成で、シニアの生活を見直してみたらどうかと思う。私の場合は仕事は都市での屋上菜園活動、ライフワーク・趣味は日本型ビジネスモデルの研究・普及、家族・友人はネットワークづくり、そして自然の中で過ごすは農業と里山旅行だ。人生は360度ある。それぞれのライフステージで割合が変化するが、シニアの時期はその成熟期・完成期なのではないかと思う。

人生90歳台になれば日本の年金制度は崩壊してしまうかもしれない。また特に男は仕事の量を軽くしていくことになるが、生涯現役が元気の元だ。日本人は勤勉な民族で、欧米人のような労働は罰の結果(旧約聖書から出ている思想)という固定観念から自由な民族で、働くこと自体に喜び、存在の自己確認、さらには救済感さえ持っている。・・・そんなことを思い巡らしている内に電車は池袋駅につき、我に返った。