依存症の時代

以前のブログで私達は消費に疲れているのではないかと書いた。そのためには消費ばかりの生活ではなく、自らも生産することを始めたらどうか、と提案した。そのとっかかりが野菜づくりだった。さて現在はモノだけでなく、時間さえも消費対象となっている。最近興味深い本が出た。『依存症ビジネス‐「廃人」製造社会の真実』(著者:デイミアン・トンプソン)。この本はアメリカ社会を背景に、普通の人々が依存症を生み出しかねない産業にいかに蝕まれているかを述べたものと言われる。副題の「廃人」という言葉が衝撃的だ。

以前はアルコールと薬物が代表的な依存症だが、最近はそれが多くの分野に拡がっている。

私がこれは依存症ではないかと思うのは携帯電話だ。電車に乗ると殆どの人と言っていいくらい小さな画面を見ている。電車を降りてプラットフォームでも、階段でも画面を見続けている。ゲームをやっている人はストップできないのだろう。

マーケティング用語で「リピーター」という言葉がある。販売する側にとっても望ましい顧客だが、場合によっては依存症的部分もあるかもしれない。依存症を煽るために大企業がテレビなどのマスメディアを通じて広告を流している可能性もある。

依存症に犯されないようにするにはどうしたらいいか。このようなモノ、コトを全て遮断するのは難しいが、以下のような対応はどうだろうか。

1.自分が何かに依存症的傾向を持っているかどうか、確かめる

2.なぜそのモノ、コトに依存するのか、その理由を考え、深刻な場合は、親しい友人、場合によっては専門家にも相談する。一人で抱え込んでしまわない。

3.時間を決めてそのようなモノ・コトを遮断する。たとえば1時間とか2時間とか。

そのような時間を自分の「こころの時間」「自然と触れ合う時間」にシフトさせていく。

大事なことは自分の生活と感情生活を依存ではなく、自律させることである。それは自由を回復する道につながっていく。消費の夢を見続ける「廃人」ではなく、目を覚まして主体的に生きる人間を目指すことだ。