温度について
現在丸の内界隈が変りつつある。目指していることは「冷たい町から温かい町」だそうだ。確かに丸の内仲通りを歩くと、歩道が広く、欅の並木道が美しい。そして旧富士銀行本店のあったところに雑木林が出来ている。一言で表現すれば、緑溢れる町になりつつある。緑のあるところに人は集まって来る。そして賑わいが生まれる。効率優先、採算重視の地域開発から町の価値を高める街づくりに変ってきている、ということだろう。緑が多くなれば、鳥も昆虫もやってくる。生物多様性が回復されていく。因みにフランスのパリ市内にはブドウの木が2万本以上植えられていて、パリ産のワインも造られている。市内のカフェのオープンスペースの上にはワイヤーを伝わってブドウの葉が広がり、緑陰が独特の雰囲気を生み出している。町造りには緑が欠かせない要素だが、どのように緑を活かすかは景観デザインの重要な役割ではないかと思う。以前熊本県の黒川温泉の後藤さんの本を読んで教えられたことは「雑木林が人を癒す」ということだった。「人を癒す雑木林づくり」が後藤さんのノウハウだ。以上は「町の温度」についての感想だが、もう一つ「組織の温度」という物差しもありそうだ。訪問して丁寧で親切な対応を受けると「温かい感じの会社」という印象を私たちは持つ。また熱気を感じる会社もある。皆が同じ方向を向いて、一丸となっているのを感じると、「熱い会社だな」と思う。人については温かい人とか冷たい人とか、私たちはよく口にする。温度は感覚的、主観的なものではあるが、何らかの基準をつくることができないだろうか。そうすれば一つの指標としてビジネスの分野でも活用できるのではないか。