創意工夫は国民的課題
どのような仕事であれ、創意工夫の余地があれば、人は意欲的に働く。上からの命令、指示とマニュアルだけの仕事であれば、創意工夫もできず、仕事は労働いや作業になってしまい、苦痛以外の何物でもなくなる。飲食店のワタミ、すき家が最近ブラック企業として取り上げられているが、効率のみを求める非人間的経営姿勢が問われているのではないだろうか。通常飲食店は深夜まで営業していることが多いので、長時間労働業種ということになるが、それでも現場で創意工夫をしながら、元気に働いている人達もいる。店舗の数が多くなれば食材の調達、資金力などで有利な面が多々あるのだろうが、やはり飲食店はまず従業員満足が前提になる業種だ。規模の拡大を金科玉条とするのは問題がある。
さて農業についても創意工夫の大切さが指摘されている。
「1町歩でも複合経営をやったら、無限に創意工夫の余地がある。そうなってくると非常に面白みがある。面白くなってくると後継者もできる。今、基本法農政の最大の犯罪は、農業から面白さを奪ったことですよ」(「生き生きと農業をするための勇気」富坂キリスト教センター刊 27P)
私は現在小川町の金子さんの農場に有機野菜塾の関係で通っている。畑では野菜の他、ブドウなどの果樹も栽培し、田圃で稲作をし、牛を飼い、鳥も飼っている。有機農家の小規模複合経営を目の当りにしている。
三菱商事常勤顧問の藤山知彦氏は最近の日本経済新聞のコラム「十字路」でイノベーションを生み出す4つの要素を挙げている。
1.個人の独創性
2.文理や理工といった壁を越える取り組み
3.多様性のある組織
4.組織の運営。指令による「目標」の他に「自主研究」部分を残すことだ。
氏はイノベーションを技術革新と翻訳しないで、「創意工夫」と捉えてみようと提案している。現在の日本にとってイノベーション、創意工夫はまさに国民的課題となっている。