「再確認、再評価の大切さ」

私たちは新しいことを求めます。今迄無かったものを探し、また作ろうとします。それはそれで進歩の思想でありとても大切なのですが、未来に属し、只今現在あるものではありません。

今日の徒然草で皆さんにお伝えしたいことは今あるもの、現実としてあるものの見直す、さらには再評価する重要性です。私たちは今あるものに馴れ親しんでいるとそれが当たり前になってしまい、あまり価値を感じられなくなります。

先日「野菜作りを楽しむビジネスパースンの会」でブレストをしている時、発酵文化の話になり、千葉県の神埼町が取り上げられました。メンバーの一人が今年の3月「発酵の里 こうざき酒蔵まつり」のイベントに参加した時の報告をしてくれました。人口6600人の千葉県で最小の町が「発酵」をキーワードに発酵の里として情報を発信し、「発酵の里協議会」を立ち上げ、それが全国的な運動になっているのです。酒蔵祭りの他、みそづくり体験イベントには東京などから1000人以上が町を訪れているとのことです。「発酵」で町が元気を取り戻しつつあります。

従来のものを改めて「健康」という視点から見た時、再発見、再評価ができたのではないでしょうか。発酵食品は健康に良いと言われていますが、最近とみに関心が高まっています。日本人の食も和食に回帰しつつあるのかもしれません。
ここにヒントがあります。時代の流れ、人々の時代意識を感じ取り、その中から自分達に合ったキーワードあるいはコンセプトを見つけ出す、ということです。時代の流れ、つまり時流の力を利用するのです。

神崎町のケースでは「伝統的な発酵食品」→「健康」 ←「本物の農産物(米、大豆)」という構図になっています。

私たちの仕事でも同じことが言えそうです。今の仕事を時流の視点から、見つめ直す。新しい視点を獲得して、再発見するという試みをしてみたら、今まで気付かなかった価値がきっと見付かると思います。もしなかなか見付からなかったら、社員の声に耳を傾ける、お客様の声に耳を傾ける、場合によっては外部の人のモノの見方を参考にする。新しい視点の獲得は、最後は「洞察」という非常に大事な精神的作業となります。健康といういわば一般的な視点が自分の仕事という特殊性の中でどのような意味を持つのか、それが見えることが洞察であり、本当の再発見です。
新しい視点が新しい評価を引き出します。そこに希望と確かなモチベーションが生まれてきます。そうなればしめたものです。

経営者の皆さんも是非今あるものを、つまり経営資源を新しい視点から見つめ直し、再評価して、経営資源の一つ一つの価値を是非高めて頂きたいと思います。